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『除雪物語』 |
「名神高速道路」の関ケ原インターチェンジと八日市インターチェンジの区間は、一日約5万5千台もの車が行き来しています。
普段は何の変哲も無いごく普通の高速道路ですが、落ち葉が舞い始める頃からこの区間は様変わりしてきます。
琵琶湖を通り抜けた北西の風に乗り、「ゲリラ雪」と呼ばれる突然の降雪が、雪に不慣れなドライバーの行く手を阻むのです。
名古屋や京都・大阪は快晴。なのに、この区間だけは突然雪が舞い始めるのです。
冬用タイヤは?
チェーンは?
大抵の車は用意していません。
さあ、『雪氷対策作業』の開始です。
名神高速道路の関ケ原インターチェンジと八日市インターチェンジの区間を維持管理するのは、JH関西支社彦根管理事務所です。
事務所のコントロール室には沢山のモニター画面があり、この区間の路面状況や通行車両の流れなどを24時間監視しています。
その他に、高速道路本線上の定点からは、路面温度や風速・風向・気温などの観測データーが、リアルタイムでこのコントロール室に送られてきます。
勿論、精度の高い局地気象予報により、降雪を予測していますから、雪が降り出したからといって、慌てる事は有りません。 |
いよいよ凍結防止剤(塩)散布車が出動します。それと同時に路肩に設置されたスプリンクラーからは凍結防止溶液(食塩水)がスタンバイしています。
3台の除雪車が横に並び、20〜30分毎に通行車両の列に流れ込み、時速40Km以下のスピードで、安全走行のための露払いと、車両の前面に取り付けた「スノウプラウ」を路面すれすれに押し下げて道路の雪を掻き取って行っていきます。これには卓越した運転技術と集中力が要求されるのです。
たちまち除雪車の後方には数キロメートルの渋滞が出来ます。
『スロー&スロー』手を汚さずに安全確実に目的地に到着出来るのためなら、多少の苛立ちは我慢しましょう。
除雪車と通行車両がお互い協力し合うことで、雪に強い高速道路は保たれるのです。
そして『塩』も調味料以外に、こんな分野でも役立ってくれているのです。 |
完 |
融雪・凍結防止剤には『塩』の他に『塩化カルシウム』や『塩化マグネシウム』などが多く使われています。
これらの塩類の水溶液は、水よりも結氷温度が低く、(氷点降下)塩類の種類とその濃度によって、その結氷温度は異なります。
凍った路面にこのような塩類を散布しても、氷(雪)を融かすためには、熱や空気が舗装体から供給されなければなりません。
最初に塩類を氷に加えるといく分かの氷は融けますが、氷を融かすために熱が使われるので、その結果、氷の温度は下がることになります。
これは、いわゆる『寒剤』であり、氷と溶液との混合物の温度は、溶液の濃度に見合う結氷温度を目指して下がっていきます。
そうすると、氷と溶液の混合物の温度は、周りの大気や舗装体の温度よりも低くなるので、相対的に混合物よりその周囲の大気や舗装体の温度の方が高いことになり、周囲から熱が供給されて、氷が融けることになります。
こうして、溶液の濃度は段々うすくなりますが、周囲の温度と溶液の濃度がバランスするまで、氷は融けていきます。(資料・グラフ参)
こうしたことで、塩類を氷に加えることによって除氷(雪)効果が得られると考えられています。 |
塩化カルシウム(塩化ナトリウム)の
濃度と凍結点(温度)の関係
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「冬の朝、庭に雪が積もっていたら、アイスバー(氷菓)を作ろう。」 |
ボウルの中に雪をギシギシに詰め込み、雪の重さの15〜20%ほどの塩をふりかけます。
試験管のような細い容器にお好きなジュース類を注ぎ込み、その中に割り箸か、竹くしの太いものを立ててボウルの中にその容器を入れて出来あがり。
ボウルの中にある雪の状態と温度の変化を観察しましょう。
暖房の効い室内では直ぐに雪が融けてしまいますので、ベランダなどで行うと良い。
気温が0℃以下なら好条件です。 |
ボウルの中の雪はどうなりましたか?
雪の温度は変化しましたか?
さあ肝心のアイスバーはできましたか?
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